結婚の準備を進める中で、「結納」と「顔合わせ」のどちらか迷う方も多いのではないでしょうか。この記事では、まず結納がどんなものか、また、顔合わせ食事会の目的をご紹介します。結納と顔合わせの目的、形式、費用などの違いを比べながら、現代のカップルがどのように選んでいるかをお伝えしていきます。

結納とは何か?

結納とは、結婚の約束を公にし、両家が親戚となることを祝い、確認し合う日本の伝統的な儀式です。婚約を正式なものとするために、男性側から女性側へ、または両家で結納品や結納金を贈り合う習慣があります。

この儀式は、単なる物の交換ではなく、これから始まる新しい家族の絆を深める大切な機会として、長く受け継がれてきました。

結納の歴史と現代における位置づけ

結納は、古くは奈良時代にまで遡ると言われるほど、長い歴史を持つ日本の婚礼文化の一部です。かつては家と家の結びつきを重んじ、仲人を立てて厳かな形式で行われることが一般的でした。

現代では、ライフスタイルの変化とともに結納の形式も多様になっています。伝統的な結納を選ぶカップルもいれば、より簡略化した略式結納や、顔合わせ食事会を選ぶカップルも増えています。しかし、形が変わっても、結婚への決意を固め、両家が心を一つにするという結納が持つ意味合いは、今も変わらず大切にされています。

結納の種類 正式結納と略式結納

結納には、主に「正式結納」と「略式結納」の二つの種類があります。それぞれの特徴を知ることで、自分たちに合った形式を選ぶことができます。

種類 特徴 仲人の有無 開催場所の傾向
正式結納 伝統的なしきたりを重んじ、格式高い雰囲気で行う結納です。 あり ホテル、料亭など
略式結納 現代のライフスタイルに合わせて簡略化された結納です。 なし(または立てないことが多い) 自宅、レストラン、料亭など

正式結納の特徴と流れ

正式結納は、仲人を立てて行う伝統的な結納です。仲人が両家を行き来し、結納品や結納金を取り交わすのが特徴です。格式を重んじ、厳かな雰囲気の中で行われます。

一般的な流れとしては、まず男性側の仲人が女性宅へ結納品・結納金を持参し、女性側はそれを受け取ります。その後、女性側の仲人が男性宅へ受書と結納返しを持参し、男性側が受け取るという形で、仲人が両家の間を取り持ちながら進められます。最後に、両家と仲人が集まってお祝いの席を設けることもあります。

略式結納の特徴と流れ

略式結納は、仲人を立てずに両家が直接顔を合わせて行う現代的な結納です。ホテルや料亭、レストランの一室、あるいは自宅などで開催されます。形式にとらわれすぎず、和やかな雰囲気の中で行われることが多く、多くのカップルに選ばれています。

一般的な流れは、両家が一堂に会し、男性側から女性側へ結納品や結納金を贈ります。女性側はそれを受け取り、受書を渡します。必要であれば、その場で結納返しを行うこともあります。その後、両家でお祝いの食事を囲み、親睦を深めます。

顔合わせ食事会とは?

顔合わせ食事会は、結婚を控えたお二人のご両家が初めて一堂に会し、親睦を深めることを主な目的としたお食事会です。結納のように形式ばった儀式ではなく、和やかな雰囲気の中で両家の交流を大切にします。

お互いの家族を紹介し合い、今後の結婚生活に向けての理解を深める大切な機会です。お食事を楽しみながら、会話を通じてお互いの人柄や家族の雰囲気に触れることができます。

顔合わせ食事会の魅力とメリット

顔合わせ食事会には、ご両家にとって嬉しい魅力とメリットがたくさんあります。

  • 堅苦しさがなく、リラックスできる
    結納に比べて形式が自由なため、ご両家が肩の力を抜いて自然体で過ごせます。会話が弾みやすく、和やかな雰囲気を作りやすいのが特徴です。
  • 費用を抑えられる
    結納金や結納品を用意する必要がないため、費用を食事代に限定できます。ご両家の負担を軽減できるのも大きなメリットです。
  • 準備が比較的簡単
    場所選びや日程調整が主な準備となるため、結納に比べて手間がかかりません。お忙しいお二人でも準備を進めやすいでしょう。
  • 両家の距離が縮まりやすい
    食事を共にしながら会話を重ねることで、ご両家がお互いのことをより深く知るきっかけになります。今後の親戚付き合いを円滑にするためにも大切な時間です。
  • カップルの意向を反映しやすい
    お二人の希望に合わせて、会場の雰囲気や食事の内容、進行などを自由に決められます。お二人らしいおもてなしの場を作ることができます。

顔合わせ食事会の一般的な流れ

顔合わせ食事会には決まった形式はありませんが、一般的には次のような流れで進められることが多いです。ご両家で相談しながら、お二人らしい進行を考えてみてください。

時間帯 内容 ポイント
開始時 ご両家集合・着席 席順は、一般的に上座に新郎新婦の父親、その隣に母親、下座に新郎新婦が座ります。
開始直後 始まりの挨拶 新郎または新郎の父親が、本日の趣旨とご両家への感謝を伝えます。
その後 自己紹介 新郎新婦から、それぞれの家族を紹介します。簡単なエピソードを交えると和やかな雰囲気に。
任意 婚約記念品の披露・交換 婚約指輪や記念品を準備している場合、このタイミングで披露し、交換することがあります。
メイン 食事と会話 お食事を楽しみながら、趣味や仕事、子どもの頃の話など、自由に会話を弾ませます。
終了前 記念撮影 ご両家揃っての記念撮影は、大切な思い出になります。
終了時 終わりの挨拶 新郎または新郎の父親が、本日の感謝と今後のご縁を願う言葉を伝えます。
解散後 お礼 後日、お礼の連絡を入れると丁寧な印象になります。

この流れはあくまで一例です。ご両家の意向や地域の習慣に合わせて、自由にアレンジしてください。

結納と顔合わせの違いを比較

目的の違い

結納と顔合わせ食事会では、それぞれに異なる目的があります。結婚への思いを形にする大切な機会として、どのような違いがあるのか見ていきましょう。

項目 結納 顔合わせ食事会
主な目的 両家が婚約を正式に約束し、金品を贈り合う儀式です。家と家との結びつきを重んじ、婚約の成立を公にする意味合いが強いです。 両家が初めて顔を合わせ、親睦を深めることを目的とした食事会です。和やかな雰囲気の中で会話を楽しみ、お互いの家族を知る機会を作ります。
重視する点 伝統的なしきたりや形式に則り、儀式を通じて婚約の証を交わすことを重視します。 リラックスした雰囲気で、両家の家族が自然に交流し、今後の関係を築くきっかけとすることを重視します。

形式と準備の違い

結納と顔合わせ食事会では、その形式や準備の進め方も大きく異なります。それぞれの特徴を知ることで、どちらを選ぶか考える参考になります。

項目 結納 顔合わせ食事会
形式 儀式的で、伝統や地域、家ごとのしきたりを重んじる傾向があります。仲人を立てる場合と、両家のみで行う場合があります。 カジュアルで自由度が高いのが特徴です。一般的に料亭やレストランなどで食事をしながら歓談します。
準備内容 結納品(結納金、婚約記念品など)、受書、目録の準備、進行役の決定、会場手配、服装選びなど、準備項目が多く、しきたりを学ぶ必要があります。 会場(料亭、レストランなど)の予約、服装の相談、手土産の準備、当日の話題の検討など、比較的シンプルに進められます。
服装 格式の高い服装が求められます。男性はスーツ、女性は振袖や訪問着、フォーマルなワンピースなどが一般的です。 セミフォーマルな服装が一般的です。男性はスーツ、女性はワンピースやセットアップなど、清潔感のある装いが好まれます。

費用と品物の違い

結婚の準備には費用が伴いますが、結納と顔合わせ食事会では、かかる費用や用意する品物にも違いがあります。それぞれの特徴を把握しておきましょう。

項目 結納 顔合わせ食事会
主な費用 結納金(男性側から女性側へ)、結納品(指輪などの婚約記念品)、会場費、食事代、交通費、仲人へのお礼などが含まれます。高額になる傾向があります。 食事代、会場費、交通費、手土産代などが主な費用です。結納に比べて費用は抑えられることが多いです。
用意する品物 結納金、婚約記念品(指輪や時計など)、結納品一式(目録、受書、末広、友白髪など縁起物)など、儀式に則った品々を用意します。 手土産(必須ではありませんが、持参することが多いです)、婚約記念品(指輪など、この場で交換することもあります)。

現代のカップルが選ぶ結納と顔合わせ

現代では、結婚を控えたカップルが両家の顔合わせをどのように行うか、その選択肢は多様になっています。伝統的な結納を選ぶ方もいれば、よりカジュアルな顔合わせ食事会を選ぶ方、あるいはどちらも行わない方もいます。それぞれの選択が、どのような思いや状況から生まれるのか、見ていきましょう。

結納を選ぶケース

結納は、古くからのしきたりを大切にする両家や、婚約をより厳粛な形で執り行いたいと考えるカップルに選ばれています。結納品や結納金を交わすことで、婚約の証を形に残し、両家の絆を深めたいという気持ちが込められています。特に、地域や家柄の慣習を重んじる場合や、両親が結納を望むケースでは、結納を選ぶことが多いようです。

結納を行うことで、結婚への決意がより一層固まり、両家が正式に親戚となる節目の大切さを実感できるでしょう。格式ある場を設けることで、結婚に対する心構えも深まるきっかけになります。

顔合わせを選ぶケース

顔合わせ食事会は、現代のカップルに最も選ばれているスタイルの一つです。形式にとらわれず、和やかな雰囲気の中で両家が親睦を深めることを目的としています。準備の手間や費用を抑えたい、あるいは両家の意向で堅苦しい場を避けたいと考えるカップルにぴったりです。

食事をしながら会話を楽しむことで、お互いの家族の人柄を知り、自然な形で打ち解けられるのが顔合わせ食事会の魅力です。結婚式の準備で忙しいカップルや、遠方に住む家族が集まりやすいように、柔軟な日程や場所を選べる点も、多くのカップルに支持される理由となっています。

どちらも行わないケース

結納も顔合わせ食事会も行わないという選択をするカップルもいます。例えば、すでに両家が親しい関係にあり、改めてかしこまった場を設ける必要がないと判断した場合です。また、遠距離恋愛で物理的に集まるのが難しい場合や、結婚式の準備に集中したいといった理由から、あえて特別な場を設けないこともあります。

現代では、結婚の形も多様化しており、カップルや両家の価値観に合わせて柔軟に選択することが大切です。何よりも大切なのは、両家が納得し、お互いの家族がこれから良い関係を築いていけること。形式にとらわれず、お互いを尊重し合う気持ちが、より良い未来へとつながります。

まとめ

結納と顔合わせは、結婚に向けて両家が絆を深めるための大切な機会です。結納は古くから続く婚約の儀式として、品物や金銭を贈り合うことで婚約を正式にする意味があります。一方、顔合わせ食事会は、和やかな雰囲気の中で親睦を深めることを目的としています。目的や形式、費用などに違いがありますが、現代ではどちらを選ぶか、あるいは行わないか、カップルの考え方やご家族の意向によってさまざまです。大切なのは、お二人とご家族が納得し、心から喜べる方法を選ぶことです。この記事が、お二人にぴったりの選択を見つける手助けになれば嬉しいです。